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多血小板血漿(PRP)
療法のご案内MEDICAL GUIDE

多血小板血漿(PRP)療法のご案内

多血小板血漿(PRP)療法のご案内MEDICAL GUIDE

この度、当院では西日本で初めて眼科領域において多血小板血漿(PRP)による角膜の再生医療を行うこととなりました。
再生医療等の安全性の確保等に関する法律第40条第1項の規定に則って、特定細胞加工物製造届出を行い、細胞培養加工施設としての認可を受けております(細胞培養加工施設番号FC5200062)。
また、同法に則った第二種再生医療の再生医療等提供計画の安全未来特定認定再生医療等委員会の審査を受け厚生労働省の認可を得て、治療を行います。(2021年3月10日近畿厚生局受理、計画番号:PB5200051)。

自己多血小板血漿 (PRP : Platelet-Rich Plasma) 療法とは?

ドライアイの患者様に新しい治療を!
多血小板血漿(PRP : Platelet-Rich Plasma)治療に関しては、「ドライアイ疾患においては、89%の患者に自覚症状及び眼表面の改善が見られ、PRP点眼が大変有効であった」1)との報告があります。また難治性の角膜上皮障害の治療として、上皮再生能を向上し、創傷治癒を促進したという報告2)もあります。これまで重篤な副作用の報告はなく、治療する上で効果的かつ安全な方法であると多くの論文に記載されています
  • 1) A Rodriguez, et al. THE USE OF EYE-PLATELET RICH PLASMA (E-PRP) IN THE TREATMENTOFOCULAR SURFACE DISORDERS, ESCRS(欧州白内障・屈折手術学会), 07/10/2013.
  • 2) Rechichi M, et al. Autologous platelet-rich plasma in the treatment of refractory corneal ulcers: A casereport, Am J Ophthalmol CaseRep 2020, 20, 100838.
PRP(多血小板血漿)とは?
現在、再生医療においてPRPが注目されています。PRP(Platelet-Rich Plasma)とは血小板を濃縮した血漿のことです。血液を2回遠心分離すると上から「PRP」、「血漿層」、「赤血球層」の3層に分かれます。血小板は組織損傷を修復するサイトカインの宝庫で、PRPは組織修復を促進する大きな効果が得られることが判明しました。

現在、再生医療においてPRPが注目されています。
PRP(Platelet-rich plasma)とは血小板を濃縮した血漿のことです。
血液を2回遠心分離すると、上から「PRP」、「血漿層」、「赤血球層」の3層に分かれます。
血小板は組織損傷を修復するサイトカインの宝庫で、PRPは組織修復を促進する大きな効果が得られることが判明しました。

PRPの長所

  • ・ 細胞の増殖因子が豊富に含まれており、これが創傷治癒を増幅・促進する。
  • ・ 自己の成分、自己の細胞を使っているので、免疫拒否反応がない。
  • ・ 簡単に作成できて、操作性に優れている。
  • ・ 増殖因子が放出され、すぐに作用する。

血小板に含まれる増殖因子

  • ・ Platelet-Derived Growth Factor (PDGF:血小板由来増殖因子)
  • ・ Transforming Growth Factor (TGF:トランスフォーミング増殖因子)
  • ・ Fibroblast Growth Factor (FGF:線維芽細胞増殖因子)
  • ・ Insulin-Like Growth Factor (IGF:インスリン様増殖因子)
  • ・ Epidermal Growth Factor (EGF:上皮増殖因子)
  • ・ Keratinocyte Growth Factor (KGF:角化細胞増殖因子)
  • ・ Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF:血管内皮増殖因子)

眼科以外でPRPを適用している治療例

  • 整形外科: 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、アキレス腱炎、筋損傷の治療・治癒促進、変形性膝関節症等
  • 口腔外科: 顎骨再建やインプラント治療、GBR(骨移植)に使用、重度の歯周病の治療等
  • 形成外科: 褥瘡の治療(2020年4月保険適用)、顔のたるみ解消、しわの軽減、難治性四肢潰瘍等
  • 耳鼻咽喉科:鼓膜形成術、副鼻腔疾患に対するジアテルミー後の治療等
  • 婦 人 科:良性子宮頸部外陰部の治療、薄い子宮内膜の治療(不妊治療)等

主な適応疾患

重度の乾性角結膜炎(ドライアイ)、シェーグレン症候群、点状表層角膜症、繊維性を有する角膜びらん症、角膜潰瘍、角膜穿孔、黄斑円孔の治療に使用します。

当院では、特にドライアイにお悩みの方への治療としてPRP点眼治療をお勧めいたします。
ドライアイ疾患は、涙が目に十分な潤滑を提供できない場合に発生する症状です。涙の減少は、目を不安定にする可能性が高まります。たとえば涙が十分出なかったり、質の悪い涙を出したりすると、ドライアイが発生する可能性が高まります。この涙の不安定性は、目の表面の炎症と損傷につながりますし、目に不快を感じます。ドライアイになると、目がチクチクしたり、ほてったりすることがあります。飛行機の中、エアコンの効いた部屋、自転車に乗っているとき、またはコンピュータの画面を長時間見た後など、特定の状況でドライアイが発生することがあります。
ドライアイの兆候や症状は、通常両眼に表れ、以下のようなものがあります。
  • ・目がチクチク、ヒリヒリ、ゴロゴロする感じ
  • ・目の中や周りに糸状の粘液が出る
  • ・光に対する感度
  • ・目の赤み
  • ・目の中に何かが入っているような異物感
  • ・コンタクトレンズが装着しづらい
  • ・夜間の運転が困難になる
  • ・涙目(ドライアイの刺激に対する体の反応です)
  • ・目のかすみや目の疲れ

ドライアイの原因

ドライアイの原因は、さまざまな理由で健全な涙液膜が破壊されることです。涙の膜は脂肪質の油、水溶液、粘液の3つの層で構成されています。この3つの層によって目の表面は、通常潤滑で滑らかで透明に保たれています。これらの層のいずれかに問題があるとドライアイになります。涙液の機能不全の原因は、ホルモンの変化、自己免疫疾患、眼瞼腺の炎症、アレルギー性眼疾患など様々です。人によっては、涙の分泌量の減少や涙の蒸発量の増加がドライアイの原因となることもあります。また、最近の研究ではスマホやタブレット端末、PC操作による目の酷使も原因との指摘もあります。

涙の分泌量の減少
ドライアイは水分(房水)が十分に分泌されないことで起こります。この症状は医学的には乾性角結膜炎(ker-uh-toe-kun-junk-tih-VY-tis SIK-uh)と呼ばれています。涙の分泌量が減少する一般的な原因は以下の通りです。
  • ・ 加齢によるもの
  • ・シェーグレン症候群、アレルギー性眼疾患、関節リウマチ、ループス、強皮症、移植片対宿主病、サルコイドーシス、甲状腺疾患、ビタミンA欠乏症などの特定の医学的疾患。
  • ・抗ヒスタミン剤、充血除去剤、ホルモン補充療法、抗うつ剤、高血圧治療薬、にきび治療薬、避妊薬、パーキンソン病治療薬などの特定の薬の服用
  • ・ コンタクトレンズの使用、神経の損傷、レーシック手術による角膜神経の過敏症など
涙の蒸発量の増加
まぶたの縁にある小さな腺(マイボミアン腺)から分泌される油膜が詰まることがあります。マイボーム腺の詰まりは、酒皶(しゅさ)やその他の皮膚疾患のある人に多く見られます。
涙の蒸発量が増える一般的な原因は以下の通りです。
  • ・後部眼瞼炎(マイボーム腺機能障害)
  • ・まばたきの回数が少なくなる。パーキンソン病などの特定の疾患や、読書、運転、コンピュータ作業などの特定の活動に集中しているときに起こりやすい。
  • ・まぶたが外側に向く(眼瞼外反症)、まぶたが内側に向く(眼瞼内反症)など、まぶたのトラブル
  • ・眼のアレルギー
  • ・外用点眼薬の防腐剤
  • ・風、煙、空気の乾燥
  • ・ビタミンAの欠乏
リスク要因
ドライアイになりやすい要因には、以下のようなものがあります。
  • ・50歳以上であること。涙の分泌量は、年齢とともに減少する傾向があります。ドライアイは50歳以上の方に多く見られます。
  • ・女性であること。特に、妊娠、避妊薬の使用、更年期障害などでホルモンの変化があった場合、涙が不足することが多くなります。
  • ・レバー、ニンジン、ブロッコリーなどに含まれるビタミンAや、魚、クルミ、植物油などに含まれるオメガ3脂肪酸が少ない食事をしている。
  • ・コンタクトレンズを使用している、または屈折矯正手術を受けたことがある。
「Mayo ClinicのWeb site」より引用

PRP治療に関して

最初に、本治療の適応であるかを診断するために一度通常の受診をしていただきます。治療の適応がある場合には、治療日を決めて予約します。

治療の方法
治療は日帰りで終わります。

  • ① 診察
  • ② 患者さまの血液を約30~32ml採ります。
  • ③ 遠心分離機に2回かけてPRP(多小板血漿)のみを取り出します。
  • ④ PRPを点眼瓶に注入して、担当医より直接お渡しいたしますので朝夕1回づつ点眼して下さい。
  • ⑤ 点眼瓶は使用期限(2本の点眼瓶使用終了期限)を厳守の上、ご本人のみの使用に限ります。
    ※保存方法、点眼の方法に関しての注意文書をお渡しします。
  • ⑥ 治療の経過観察のため、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後にご来院ください。ご来院できない場合は、患者様の安全性を確実に把握する為、当院よりご連絡いたします。経過観察1ヶ月より前であっても、何かあった場合はいつでも来院して診察を受けてください。
  • ⑦ 患者さまの症状によっては、治療を数回行うことがあります。治療前、または治療後の状態から担当医師が判断し、患者さまにお伝えいたします。

治療のメリット・デメリット 

メリット
  • ・効果がより長く持続することが期待されます
  • ・必要があれば何度でも受けることができます。
  • ・血液の採取量が少なく、治療も点眼のみであるため体への負担が少ないです。
  • ・患者さま由来の血液から作製されるためアレルギー反応等のリスクは極めて低いです。
デメリット
  • ・必ずしも、全ての人に効果があるとは言い切れません。
  • ・感染症の患者さまに対しては治療ができません。
  • ・社会保険・国民健康保険など医療制度上の保険で受けることができません。
  • ・新しい治療のため受けられる医療機関が少ないです。

他の治療法との比較

通常ドライアイでは点眼薬による治療をお薦めしております。しかし重度の場合は常に点眼が必要とされていました。また、その他の治療法として涙点プラグなどがあります。涙点(涙の流出口)にプラグ(栓)を差し込むことにより、涙を目の表面にため、ドライアイを治療、軽減する効果があります。PRP治療との直接比較による効果の優劣は不明ですが、以下のような違いがあります。

涙点プラグ挿入は、涙点を塞いだことにより、異物を涙点に流すことが出来なくなって目やにやかゆみが出ることがあります。また、涙が溜まりすぎてポロポロ涙がこぼれてしまう方がいます。目をこすったりした時に涙点プラグが外れることがあります。外れたプラグが目の表面に触れて角膜や結膜に傷をつけてしまう事があります。

このPRPでの治療は当院でも治療する上で、効果的かつ安全な方法であると考えております。なお、治療効果や効果の持続期間は個人差がありますので、患者さまによっては複数回治療を要する場合もございます。

PRP治療は患者さまご自身の血液から製造するため、患者さまごとに品質のばらつきがある可能性があります。一方、患者さまご自身のPRPから製造するため、アレルギー反応などの可能性は極めて低いと考えられます。

治療にかかる費用について

この治療は公的保険の対象ではありませんので、当医院の所定の施術料をお支払いいただきます。当院において実施する本治療、および本治療に必要な検査などの費用は全額自己負担となります。ご不明な点は医師・スタッフにお尋ねください。

《1回の費用(税込み)¥110,000》
ご注意:PRP療法は、国内ではまだ保険診療の対象外のため、自費診療扱いとなります。

患者さまの症状によっては医師の判断により治療を数回行うことがあります。その場合、費用は上記と同額となります。

再生医療 TriCeLL PRP分離・濃縮キット - 消耗品リスト

採血
  • ACD-A液(血液抗凝固剤)を用意
  • 30mlのシリンジ(針の太さに指定は無し)を装着しACD-A液を3cc採取
  • 針を翼状針(施設プロトコル)に付け替えて男性30cc女性32ccを採血する
TriCeLLに血液を注入しPRP作成
  • ・翼状針を外し、19ゲージ~21ゲージの針に付け替える
  • ・マスクと手袋を装着し清潔区域にて作業開始
  • ・トライセルキットに血液を注入
  • ・キットの重さを量り、カウンターを準備する(±1g)
  • ・PRPを作成
  • 5mlのロック機構付シリンジを用意
  • 21ゲージ~23ゲージの針を装着しPRPを抽出する
施術
PRPを抽出した5mlシリンジから針を外し、施術用の針(施設プロトコル)に付け替えるPRPを施術する。
  • ・マスクと手袋:基本的にPRP作成時には装着する
  • ・ACD-A液(市販の最少は250cc 定価1袋400円×20入)
  • ・アルコール綿:ACD-A液の採取口の消毒と採血用
  • ・シリンジ:30mlと5mlロック式
  • ・針先:ACD-A液用・採血用翼状針・キット注入用・PRP抽出用・PRP施術用
  • ・はかり:(遠心の前にキットの質量を量り、カウンターを準備する)
  • ・カウンター用キット2本:遠心機の対角にセットする。(107gと110gを用意)
  • ・止血用パッチ・駆血帯・サージカルテープ(翼状針固定用)・三又変換アダプター
※採血とPRP施術に使用する針先は、施設の基準に準ずる。

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