屈折異常(近視・遠視・乱視)|大阪市港区 よしだ眼科クリニック
屈折異常とは、網膜にピントが合わない状態のことです。屈折異常には、近視・遠視・乱視があります。基本的には、メガネ・コンタクトレンズによる矯正もありますが、近年ではレーシックやICLなどの屈折矯正手術も選択肢もあります。
近視などの屈折異常がない状態の眼球の前後の長さ(眼軸長)は一般的に直径24mm程度といわれてますが、近視の進行によって眼軸長が異常に長くなることがあります。近視のうち、眼軸長が直径26.5mm以上の場合や、度数が「-6.0D」を超えている場合は「強度近視」に分類されます。
強度近視によって、眼球の後方部分に影響が及ぼされることで、目の後方にある「網膜」や「脈絡膜」、「視神経」などの視力にとって重要な組織に病的な変化が生じます。この状態を「病的近視」といい、視力に支障をきたすだけでなく、メガネやコンタクトレンズによる視力矯正が困難になります。
強度近視は視力の低下だけでなく、様々な病気を引き起こす確率が高くなります。このことから日本の失明原因の上位となっています。主な合併症は以下の3つがあげられます。
近視の進行により眼球が前後に伸びると共に、網膜も牽引(引っ張られる)され、少しづつ網膜の層が裂けてきます(=網膜分裂)。網膜分裂の初期の段階では自覚症状はないですが、分裂が進行すると、視力低下を招きます。最終的には網膜が剥がれ落ちる「網膜剥離」や、網膜の中心部に穴の開く「黄斑円孔」などの重篤な目の病気につながります。網膜剥離や黄斑円孔が発症した場合は「網膜硝子体手術」が第一選択となり、硝子体を摘出し、それぞれの疾患に対して処置を行います。
眼球が引き伸ばされるにつれて、ブルッフ膜(網膜と脈絡膜の間を隔てている膜)に亀裂が生じ、異常な血管(新生血管)が亀裂を通して脈略膜から網膜へ侵入します。新生血管は非常に脆く、破れて網膜内に出血を引き起こし、その結果視力に支障をきたします。治療方法としては「抗VEGF薬」という新生血管を沈静化させる薬剤を眼に注射(硝子体注射)することで、新生血管の出血を防ぎ、症状を改善します。
強度近視によって眼球が前後に伸びると共に、視神経や視神経線維も引き伸ばされることにより、視野に支障をきたす病気です。緑内障の症状と似ており、視野が欠けたり、見える範囲が狭くなります。治療方法は視神経にかかる負担を減らすために眼圧を下げることを目的とした点眼治療を行います。これはあくまでも進行を抑えるための対症療法であり、一度欠けてしまった視野は元に戻せません。強度近視の方は定期的な視野検査を行い、早期の発見と治療が重要です。
強度近視も病的近視の状態でなければ、強度近視対応のメガネやコンタクトレンズによって矯正は可能になります。
また、「ICL(眼内コンタクトレンズ)」による屈折矯正手術も可能です。ICL(眼内コンタクトレンズ)は目の中にコンタクトレンズのような小さなレンズを挿入することで、近視を矯正し、裸眼での生活を可能とします。矯正度数の範囲が幅広く、強度近視に対応しているレンズもあることが特徴です。
レーシック(LASIK)は角膜を削って変化させることで視力を矯正しますが、矯正する度数が大きくなるにつれて、角膜を削る量も増えるため、度数範囲は「-6.00D」までが原則となってます。
-6.00D以上の強度近視の場合は慎重実施により-10.00Dまでが適応可能となりますが、術後の近視の戻りの可能性が高く、長期間の視力の安定性に問題があるといわれています。