白内障手術は片眼ずつ?両眼同時?メリット・デメリットを解説

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白内障手術の両眼同時手術について

白内障手術片眼ずつ行うのが一般的ですが、最近では両眼同時手術も選択肢にあがっています。
どちらが良い選択肢なのか、それぞれのメリットとデメリットを理解することが重要です。

片眼ずつ手術を行うことはリスクが分散できるそうだけど両眼同時手術なら手続きの回数を減らせるから良いのでは?など本記事では、片眼のみ、両眼での白内障手術のメリット・デメリットについて解説します。個々の症例に合った最適なアプローチを見つけましょう。

白内障手術は、通常片眼ずつ行う

白内障手術を片眼ずつ行う理由

白内障手術は通常、片眼ずつ行われることが一般的です。これにはいくつかの理由があります。
まず、片眼ごとに手術を行うことで、もし何か問題が生じた場合にもう片方の目が補助となり、生活の継続が可能です。
また、手術の回復期間を片方ずつ取ることで、生活において大きな制約を受けずに済みます。

片眼ずつの手術が主流だった背景には、もし感染症が発生した場合、それが両目に影響を及ぼす危険性が高いという考え方があげられます。
現在では、手術手技の向上、手術時間の短縮、傷口の最小化、手術室の無菌状態の向上などが著しく進み、また手術に使われる器具や医療資材の多くが使い捨て(ディスポーザブル)が一般的になったため、両眼同時に行うことが可能です。

白内障の両眼同時手術のメリット・デメリット

白内障両眼同時手術のメリットデメリットについて

両眼同時手術のメリット

1. 早期の日常生活への復帰

手術後の数日間は、レンズ挿入の創口からの細菌感染リスクを避けるため、洗顔や入浴などの日常生活に一時的な制限があります。
片眼ずつ手術する場合、制限期間が左右2回分発生し、完全な復帰までの期間が延びる可能性があります。
また、片眼ずつの手術では見え方も片眼ずつとなり、通常の生活に戻るまでに時間がかかります。

一方、両眼同時手術の場合、手術直後はぼんやりとした状態でも、翌日からは両眼とも同じように視力が回復し、早期の日常生活への復帰が可能です。

2. 左右の見え方のバランスが取りやすい

片眼のみ手術する場合、一方の目は手術が終わり、もう一方は手術前の状態が続くため、左右の見え方に不均衡が生じ、生活に支障をきたすことがあります。
対照的に、両眼手術では手術直後から左右の見え方のバランスが取りやすく、差異が少ないため、生活に適応しやすくなります。

3. 通院頻度、費用負担を減らすことができる

手術後の目の状態検査や診察のためには術後検診が必要です。
片眼ずつ手術する場合、通院期間が2回分かかるため通院回数が増加し、費用や交通費もかさんでしまいます。
対照的に、両眼同時手術では1セットで通院回数が済むため、経済的な観点からもメリットがあります。

また、一度で手続きが完了するため、回復期間を一度で終えられるため、仕事や生活スケジュールにおいても調整がしやすく効率的です。
そして麻酔や入院も一度ですむため、病院への通院回数が減り、患者様の負担が軽減されます。

両眼同時手術のデメリット

1. 片眼手術よりもリスクが高い

両眼同時手術には、片眼ずつ手術を行う場合よりも合併症のリスクがやや高まる可能性があります。ただし、このリスクは一般的に低いとされています。

2. レンズを微調整する機会がない

片眼ずつ手術の場合、片方の目の見え方を確認した後、もう片方のレンズの微調整が可能ですが、両眼手術の場合はこの微調整が行えません。

3. 手術日には付き添いが必要

手術後は当日、両眼とも視界がぼんやりとすることがあり、患者様単独での帰宅は危険が伴う可能性があるため、ご家族の方々に付き添いをお願いしています。

白内障手術の両眼同時手術が向いている人・向いてない人

両眼同時手術は、ある条件を満たす人に向いています。
例えば、両眼の白内障の進行度がほぼ同じであり、身体的な状態が手術に適している場合です。

逆に、片眼ともう片方の進行度が大きく異なる場合や、基本的な体力が不足している場合には、片眼ずつ手術を検討するべきです。

両眼同時手術が向いている人

  • 高齢の方や身体的な制約があり通院が難しい方
  • 手術を遠方の施設で受けることを考えている方
  • 仕事が忙しく、復帰までの期間を最小限にしたい方

両眼同時手術が向いていない人(適用されない可能性がある方)

以下に該当する方は両眼同時手術が不適用とされる場合があります。
詳細は当院にお問い合わせください。

  • 緑内障や網膜疾患と同時に片眼で白内障手術が予定されている場合
  • 水晶体嚢(水晶体や眼内レンズを覆う袋)を支える「チン小帯」が弱い場合
  • 角膜混濁などが見られ、難症例の白内障手術となる場合
  • レーシックやその他の内眼手術の後で、片眼ずつ白内障手術後の見え方を確認するのが望ましい方
  • 腰や首の状態が悪く、仰臥(仰向け)が困難な方
  • パニック障害や閉所恐怖症を患い、特殊な薬剤が必要な方
  • 認知症などで長時間の姿勢保持や手術中の意思疎通が困難な方
  • 80歳以上の方(チン小帯が脆弱などの条件が多くなるため)
  • 多焦点眼内レンズやモノビジョン(左右で眼内レンズの度数を変える)を希望する方
  • 前立腺肥大症の治療薬を内服した経験のある方

まとめ

一般的には、白内障手術は片眼ずつ行われることが多いですが、両眼同時手術も選択肢の一つです。
それぞれにはメリット・デメリットがあり、個人の状態や生活スタイルによって適した方法が異なります。

両眼同時手術を希望される場合、両眼の進行度がほぼ同じであり、身体的な状態が手術に適している方が向いています。
一方で、白内障の進行度に大きな差がある場合や基本的な体力が不足している場合には、片眼ずつの手術を検討すべきです。

こういった判断は、専門医との十分なカウンセリングを通じて、自身に最適な選択を見つけることが重要です。
個々の症例に合った最適な治療計画を見つけることが肝要ですので、白内障手術をご検討の方は当クリニックまでお気軽にご相談ください。

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受付時間 9:30 – 12:30 / 16:30 – 19:00

記事執筆

眼科医 吉田 稔

日本眼科学会 眼科専門医

大阪の多根記念眼科病院で長年従事し、白内障手術、緑内障手術、網膜硝子体手術、レーシック(LASIK)やICL(眼内コンタクトレンズ)などの屈折矯正手術、角膜移植などの眼科手術に対して幅広い知見と執刀経験を持ちます。
現在、医療法人ひつじ会 よしだ眼科クリニックの理事長として地域医療に貢献。多数の眼科手術を手掛けます。

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