Clareon Vivity(クラレオン ビビティ)-新しい多焦点眼内レンズ

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クラレオンビビティ(Clareon Vivity)

眼内レンズのトップシェアを誇る「Alcon」社の最新の多焦点眼内レンズ「Clareon Vivity(クラレオン ビビティ)」を当院でも取り扱いを始めました。

Clareon Vivity(クラレオン ビビティ)は、最新の技術が取り入れられ、従来の多焦点眼内レンズとは異なるコンセプトで開発されています。
従来の多焦点眼内レンズ特有のデメリットを最小限に抑え、単焦点眼内レンズのメリットを持ち合わせている眼内レンズです。
欧米では2020年より普及していましたが、日本でも2023年に厚生省の認可を得て、「選定療養」対応の眼内レンズとして、販売・使用が開始されています。

白内障手術に対して豊富な経験と実績を持ち、眼内レンズに精通している当院院長の吉田稔医師監修の元、最新の眼内レンズ「Clareon Vivity(クラレオン ビビティ)」について解説します。

眼内レンズとは

白内障手術では、白濁した水晶体を取り除き、ピント調整を担っていた水晶体の代わりに眼内レンズ(単焦点眼内レンズ・多焦点眼内レンズ)を挿入します。
一般的に用いられるのは保険適応の「単焦点眼内レンズ」ですが、複数に焦点を合わせることができ、老眼や屈折異常の改善が可能になった「多焦点眼内レンズ」も豊富な選択肢があります。
それぞれの眼内レンズの特徴を理解し、自身のライフスタイルに合った眼内レンズを選択することが大切になります。

単焦点眼内レンズについて

ピント(焦点)が「近方」「中間」「遠方」いずれか1箇所のみに合う眼内レンズです。
健康保険が適応されることから、白内障手術では一般的に用いられます。

単焦点眼内レンズのメリット

  • 焦点を合わせている距離でモノを見るときは鮮明に見える

単焦点眼内レンズのデメリット

  • 焦点を合わせた距離以外を見る際にはメガネの装用が必要になる
    例)
    遠くに焦点を合わせて選んだ場合は、近方は見えづらくなるので、老眼鏡が必要。
    近くに焦点を合わせた場合は、遠方が見えづらく、メガネが必要。

多焦点眼内レンズについて

2箇所以上にピントを合わせることができる眼内レンズです。
「できるだけ裸眼での生活を送りたい」という方に向けて、1箇所にしかピントの合わない単焦点眼内レンズのデメリットを克服しています。
しかし、複数距離にピントを合わせるための複雑な構造を有していることから、多焦点眼内レンズ特有のデメリットもあります。

多焦点眼内レンズのメリット

  • メガネや老眼鏡の装用機会が減少する
  • 白内障の治療だけでなく、老眼や屈折異常の改善ができる

多焦点眼内レンズのデメリット

  • ハロー(光のにじみ)やグレア(光が眩しく感じる)などの光の見え方への違和感が生じる
  • 見え方の質(コントラスト感度)が低下する
  • 眼底疾患(黄斑変性症や糖尿病網膜症)や緑内障などの他の眼の疾患があると適応できない場合がある

クラレオン ビビティ(Clareon Vivity)の特徴

クラレオン ビビティ(Clareon Vivity)は「波面制御型焦点深度拡張レンズ」という新しい多焦点眼内レンズのタイプになります。
「波面制御型焦点深度拡張レンズ」には、Alcon社独自の「波面制御X-WAVEテクノロジー」という最新技術が取り入れられています。
この技術によって、主に「多焦点眼内レンズ特有のデメリットの軽減」、「単焦点眼内レンズのメリットを享受できる」といった特徴があります。

遠方から中間、そして実用的近方距離までスムーズに連続して見える

一般的な回折型の多焦点眼内レンズは光の回折現象を利用し、光を「近方」「中間」「遠方」に振り分けることで、それぞれの距離に焦点を合わせています。
対して、波面制御型焦点深度拡張レンズは、レンズ表面の「波面制御領域」によって、「先行する光の波面(近方〜中間)」と「遅延する光の波面(中間〜遠方)」を合わせて1つの波面に引き伸ばすことで、遠方〜近方まで連続的に焦点を拡張することが可能になっています。
この「連続的な焦点の拡張」は水晶体本来の見え方に近いとされており、白内障手術後でも自然な見え方を実感することができます。

単焦点レンズ並みのコントラスト感度の実現

多焦点眼内レンズの回折構造では、光をそれぞれの距離へと振り分ける際に、光のエネルギーロスが発生し、これが原因でコントラスト感度(見え方の質)が低下してしまいます。
例えば、回折型の2焦点眼内では「遠方に41%」、「近方に41%」を振り分け、その結果18%の光学的エネルギーロスが生じます。
ビビティー(Vivity)に採用されている「波面制御型焦点深度拡張構造」は、光を振り分ける構造ではないため、光のエネルギーロスが0%に近いです。
その結果、単焦点眼内レンズと同レベルのコントラスト感度で、見え方の質が非常に高いことが魅力です。

ハロー・グレアを最小限に抑えることができる

ビビティー(Vivity)には、従来の多焦点眼内レンズの光の回折現象を利用した構造(光を振り分けてそれぞれの距離にピントを合わす)ではなく、波面制御型の構造が採用されています。
そのため、回折型の多焦点眼内レンズの特有のデメリットであったハロー・グレアなどの異常光視症がほとんど生じません。
実際のデータでは0%に近く、これは単焦点眼内レンズと同程度です。

他の眼の疾患がある場合でも、挿入可能な場合がある

光を振り分けることで複数距離に焦点を合わせることが可能な回折型の多焦点眼内レンズは、黄斑変性症や糖尿病網膜症をはじめとする網膜疾患(眼底疾患)や緑内障などの他の目の病気によって、適切な光の振り分けができないことから、他の病気がある場合は不適応になります。
この場合、多焦点眼内レンズを挿入希望でも、単焦点眼内レンズで妥協しなければいけないことがしばしばありました。
しかし、ビビティー(Vivity)は単焦点眼内レンズの構造に近いことから、白内障以外の病気を有していても、執刀医による判断で「慎重実施」により手術・挿入が可能な場合があります。

クラレオン ビビティ(Clareon Vivity)の見え方

遠方から中間、そして実用的近方距離までスムーズに連続して見えることがビビティー(Vivity)の最大の特徴です。それぞれの距離の見え方は以下を参考にしてください。

vivityの見え方

遠方(遠方〜120cm)

  • 車の運転
  • スポーツ観戦
  • 映画鑑賞など
    ほとんどのシチュエーションにおいて、裸眼で快適に見ることができます。

中間(120cm〜60cm)

  • テレビ
  • ショッピング
  • 料理など
    基本的にはメガネを必要としません。

 

近方(60cm〜40cm)

  • スマートフォン
  • 読書・新聞
  • お店のメニューなど
    スマートフォンの操作やメニューを見る際などの「実用的近方」では老眼鏡の装用機会を減らすことができます。
    しかし、細かい文字を読むことや手元の作業をする際は、老眼鏡が必要となることが多くなります。

向いている人・向いていない人

以上の特徴や見え方から、ビビティー(Vivity)を選ぶ際の目安として、向いている人・向いていない人について解説します。

向いている人

夜間のドライブが多い人

従来の多焦点眼内レンズ特有のハロー・グレアによって、夜間の前方車のテールライトや信号機などの光の見え方に違和感が生じることで、運転に支障をきたす可能性があり、推奨できませんでした。
夜間の見え方を重視して単焦点眼内レンズを選んだとしても、運転に必要な遠くの見え方を重視して焦点距離を設定する必要があり、その場合はメーターやナビなどの中間距離へのピント調整ができません。
対して、ビビティー(Vivity)はハロー・グレアの発生が単焦点同様ゼロに近く、運転に必要な「遠方」の視界からメーターやナビの「中間」までスムーズに連続して見えます。
自然な見え方によって、不便なく運転ができるでしょう。

夜間の見え方

ゴルフなどのスポーツをする方

例えばゴルフでは、ショットの際にボールを打つ瞬間(中間)から、打ったボールの軌道を目で追う(遠方)という一連の動作があります。
このような動作に対し、「中間から遠方までスムーズに連続して見える」というビビティー(Vivity)特有の見え方は相性が良いでしょう。

向いていない人

近くの見え方を重視したい人

ビビティー(Vivity)によってカバーできる近方距離は、スマートフォンの操作やメニューを読む際などの「実用的近方」とされていますが、これらの近方距離でも老眼鏡が必要になる場合もあります。また、手元の作業や細かい文字を読むときは基本的に老眼鏡が必要になります。
そのため、老眼鏡の装用機会を失くしたい方や、近くの見え方も妥協したくない方にはビビティー(Vivity)は推奨できないでしょう。

費用

クラレオン ビビティ(選定療養)

クラレオン ビビティ(Clareon Vivity) 320,000円(税込)

※上記金額に加えて手術費用(保険診療分)が別途かかります。

白内障に関する
お問い合わせはこちら

06-6572-0003
受付時間 9:30 – 12:30 / 16:30 – 19:00

記事執筆

眼科医 吉田 稔

日本眼科学会 眼科専門医

大阪の多根記念眼科病院で長年従事し、白内障手術、緑内障手術、網膜硝子体手術、レーシック(LASIK)やICL(眼内コンタクトレンズ)などの屈折矯正手術、角膜移植などの眼科手術に対して幅広い知見と執刀経験を持ちます。
現在、医療法人ひつじ会 よしだ眼科クリニックの理事長として地域医療に貢献。多数の眼科手術を手掛けます。

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