ICLとドライアイについて

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ドライアイは、涙の分泌量が減ったり、涙の質が低下することによって、「目の乾き」「目の疲れ」「目がかすむ」などの症状が現れる疾患です。ドライアイは涙の病気と置き換えることができます。

現在世界中で普及し、国内でも代表的な屈折矯正手術となりつつあるICLですが、様々なメディアで取り上げられる中で「ICL を受けるとドライアイになりやすい」「ICLを受けるとドライアイが改善する」など相反するような記載を見かけることがあります。

この記事では、ICLとドライアイの関係性について解説します。

ICLとは

ICLとは、目の中に小さなレンズをインプラントすることによって、近視・遠視・乱視を矯正する視力矯正手術です。
目の中にコンタクトレンズを埋め込むようなイメージです。目の中にレンズを入れてしまうため、つけ外しやメンテナンスの必要がなく、日常生活を裸眼で過ごすことが可能となります。安全性と有効性が認められ、2010年にSTAAR Surgical社製のICLレンズが国内で唯一(2022年時点)厚生労働省より認可を受けています。

当院のICL手術について

ドライアイとは

ドライアイとは、涙の量や質の異常によって、目の不快感や視機能に異常が生じる疾患です。目の表面に傷を伴うこともあります。ドライアイの原因には様々なものがありますが、パソコンやスマートフォン、エアコン、コンタクトレンズの使用などによって涙が蒸発しやすくなり、ドライアイになります。

ドライアイの代表的な症状

  • 目が乾いた感じがする
  • 目がゴロゴロする
  • 目が疲れる
  • 目に不快感がある
  • 目が痛い
  • モノがかすんで見える
  • 光がまぶしい
    など

涙の役割

涙は涙腺から分泌され、まばたきをする毎に目の表面を潤し、外界の刺激から目を保護しています。

  • 目の乾燥を防ぐ
  • 目の表面の細胞に酸素や栄養を運ぶ
  • 微生物の侵入や感染を防ぐ
  • 目の表面を滑らかにして、角膜のレンズとしての役割を補助する
  • 目の表面のゴミや異物を洗い流す

ドライアイとICLの関係性

結論からいうと、ICLによってドライアイになったり、ドライアイが悪化することは基本的にはありません

ICLは、目の中にレンズをインプラントすることによって、視力矯正を行います。
レンズ挿入時に角膜を約3mm切開しますが、非常に小さな角膜切開となりますので、涙の分泌量には影響しないとされます。ただし、ICLによって涙の分泌が増えるわけではありませんので、ICLを受けることによってドライアイが改善することもまたありません。ドライアイの原因は様々ですが、コンタクトレンズの使用がドライアイを引き起こしている場合には、コンタクトレンズの装用が不要になることによって改善されることはあります。

一方でレーシックの場合では、フラップ*作成時に角膜を広範囲に切開するので、角膜の知覚神経が遮断され、一時的にドライアイが起きやすい状態になります。

*フラップ:レーシック時に角膜の表層を削って作るフタのことで、術後の痛みを和らげ、回復を早める役割を持ちます。

記事執筆

眼科医 吉田 稔

大阪の多根記念眼科病院で長年従事し、白内障手術、緑内障手術、網膜硝子体手術、レーシック(LASIK)やICL(眼内コンタクトレンズ)などの屈折矯正手術、角膜移植などの眼科手術に対して幅広い知見と執刀経験を持ちます。
現在、医療法人ひつじ会 よしだ眼科クリニックの理事長として地域医療に貢献。多数の眼科手術を手掛けます。

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